端的に言って、2018年の米金融政策の見通しは立たない。

何よりも、米景気の行方がつかめないからだ。


全米経済研究所(NBER)の認定では、前回の米景気の底は2009年6月で、景気回復・拡大期間はまもなく8年が経過する。

通常であれば、次の景気後退を警戒しなければならないほど時間が経っている。


米供給管理協会(ISM)が公表する製造業景気指数は、米経済に占める製造業のウエートが低下した今も、景気の指針であり続けているが、その数字は3月、4月と2カ月連続で低下している。長短金利差から試算した1年後の景気後退入り確率も若干高まってきている。


もちろん、イエレン議長が強調しているように、今の米経済はすこぶる順調であり、第1・四半期の落ち込み(成長率は前期比年率0.7%増と2014年第1・四半期以来の弱い伸び)が一時的なものだったと言える証拠も出てきてはいる。

しかし、景気拡大の成熟を示すサインも見逃すことはできない。例えば、自動車販売はピークを過ぎたように見える。


一方で、インフレ圧力は弱い。

失業率が4.4%(4月)まで下がっているのに、インフレ率は2%に届いていない。

4月の賃金上昇率は2.5%にとどまった。

賃金上昇率が2.5%では、一般物価は2%の上昇率には届かない。


また、インフレ率に大きな影響を与える原油価格も上昇が続かない可能性はある。

しかし、だからと言って、FRBの利上げ路線が、景気・インフレが弱いとの判断で頓挫すると決めつけることはできない。


トランプ政権が、当初の主張通り動くならば、減税・インフラ投資の財政拡張路線をとることになるからだ。


確かに就任100日までは政策は停滞していたが、ここにきて医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案や9月末までの歳出法案が下院を通過した。


何もできない政権ではなくなっている。

トランプノミクスの本丸と見なされている税制改革についても、ゼロ回答とはならないだろう。

こうした景気刺激策が経済を上向かせる可能性はある。


<人事刷新後も政策の連続性は維持されるのか>


何よりも、FRBの理事会7人の構成が固まっていない点が気掛かりだ。

目下、空席が3人。さらに、イエレン議長の任期は2018年2月、フィッシャー副議長の任期は同年6月に切れる。

7人の理事のうち5人の人事を、トランプ大統領が握っていることになる。


また、トランプ大統領は、ブッシュ政権で財務次官を務めたクオールズ氏を銀行監督担当のFRB副議長に指名する計画だと報じられている。

仮にFRB副議長が2人体制になれば、副議長間で見解が異なるかもしれない。そうした事態に、市場は慣れていない。これだけの人事の刷新があれば、政策の連続性が維持されるかも分からなくなる。


大方の市場関係者は現在、FRBが6月14日と9月20日に0.25%ずつの利上げを行い、12月13日に再投資政策の変更(バランスシート圧縮)に着手する日程を見込んでいるだろうが、そこから先は見通しにくい。市場は早晩、FRBの2018年の金融政策が読めない問題に対し、いら立ちを募らせ始めるだろう。


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