2018年も世界経済は堅調だと予想されている。
外資系各社の世界経済の成長率予想は3.2%から4.0%。
地政学リスクの高まりや、急激な物価上昇がなければ、金融緩和環境は維持され、貿易や生産、設備投資が拡大し、昨年より成長率が高まるとの予想が多い。
新年の株式相場も、こうした世界同時好況への期待感から株高スタートとなった。

com



[東京 4日 ロイター]より抜粋

- 今年の相場は、2019年を見据えた展開になりそうだ。
2018年の相場環境は景気が世界的に堅調で、物価も上がらず金融緩和環境が続くというのが市場予想の大勢。
だが、来年は日本の五輪需要一巡や消費増税、米国の景気後退などへの警戒感が高まる。
半年先を見て動くと言われるマーケットだけに、景気堅調のなかで懸念の芽が膨らめば、株安など波乱が起きる可能性も警戒されている。

予想外の上昇となった12月米ISM製造業景気指数を好感し、米株は3指数そろって過去最高値を更新。
2日遅れて始まった東京市場でも日経平均.N225が741円高となり、26年ぶり高値を付けた。
だが、視線を19年に向けると、雲行きが怪しくなる。
世界経済の成長率は18年よりわずかだが伸び率が落ちるとの予想が多い。
特に米国は18年の2.2─2.5%から1.7─1.8%に減速するとの予測も出ている。

米景気が堅調であればあるほど、米連邦準備理事会(FRB)は18年中も利上げを継続するだろう。
米税制改革の効果も来年には減衰するとみられている。
足元で進む米イールドカーブのフラットニングは景気減速ではなく、景気後退(リセッション)の予兆とみる声もある。

米税制改革法案成立前の11月29日時点の予想だが、米大手運用会社グッゲンハイムは、12カ月先の景気後退リスクが足元の4─9%から2019年後半にかけて22%へ上昇するとの見方を示している。

_____


<欧州や中国、日本にも不安>

中国や欧州など米国以外の経済圏も、先行きがバラ色というわけではない。
中国は高水準の債務問題や過熱気味の不動産市場への警戒感がくすぶる。
欧州は足元で進むユーロ高による輸出への悪影響が懸念されている。

コマツ(6301.T)の大橋徹二社長兼CEO(最高経営責任者)は前月25日、同社の世界需要に関して
「17年後半は欧州の伸び率がスローダウンしてきている。欧州経済が停滞するとアフリカなどに影響するので、注意深くみていきたい」と述べている。

日本は10%への消費増税が19年10月に予定されている。
東京五輪の建設需要も2020年を前に一巡する見通しだ。

日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の修正があれば、円高懸念が強まる。
各社の予想では、19年の成長率は1.2─1.4%(18年は1.4─1.8%)まで低下する。
景気減速感が強まれば、消費増税は3度目の延期となるかもしれない。
「年6兆円の日銀ETF買いがあるので、海外株が下落に転じても下落率は小さくなるのではないか」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏)との見方もある。

ただ、世界景気に敏感に反応しやすい日本株だけに注意が必要だろう。

<危険な「陶酔」の醸成>

18年が始まったばかりで、景気減速を予感させるデータも現時点では多くはない。
しかし、景気とパラレルに動くわけではないのがマーケットだ。

特に株式市場は、半年先を見て動くと言われており、2019年の景気減速が視界に入れば、足元の景気は良いのに株安が進むという可能性もある。

実際、投資家は売り抜けるタイミングを虎視眈々(たんたん)と狙っているようだ。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが先月19日に公表した機関投資家調査によると、株式市場が過大評価されていると感じている投資家の割合が45%と、1998年の調査開始以降で最高水準に達した。
株価が崩れれば、景気への影響も大きいとの指摘もある。

「今の景気は、資産効果で消費が押し上げられるなど株高の影響がかなり出ている。株価が下落に転じれば景気にも大きな影響を与えかねない」とニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストの矢嶋康次氏はみている。

世界経済が3%程度の成長でありながら、株価(MSCI ACWI指数.dMIWD00000PUS)は昨年、21%も上昇した。株価の時価総額と国内総生産(GDP)を比較した「バフェット指数」は、米国や日本で割高を示す100%を大きく超えている。

メリルリンチ日本証券では日本株について「2018年前半には楽観の深化により、強気相場が成熟し、ユーフォリア(陶酔感)が醸成される」と指摘。
強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、陶酔とともに消えていく
──と米国の伝説的投資家、ジョン・テンプルトン氏の言葉を合わせて紹介している。